中小企業のERP

中堅中小企業はこんなことに困っている

 大競争時代と予想された21世紀、まさに競争の厳しい時代となり、中堅中小企業も勝ち抜くための経営を求められています。受身の経営でも成り立った時代は過去のものになってしまったのです。

IT(インフォメーション・テクノロジー)という言葉が新聞や雑誌に登場しない日はなく、ブロードバンドによってインターネットの普及に弾みがつき、企業でのインターネット普及率は100%に迫っています。携帯電話は通話だけでなく情報端末として機能し、ITの活用はますます多様化しています。

企業が強くなるには、製品戦略、マーケティング、コスト削減など多くのことを実践していかなければなりません。このためにも企業経営にITは必須の時代です。

ITを活用する中で企業経営の基幹を為す情報システムは新しい経営戦略になくてはならないものですが、そのような期待に応えられる情報システムには、多額の投資を強いられます。サーバやPCが低価格になっても、情報システムに求めることが多彩となり、ソフトウェア投資のウェイトが大きいのです。情報化投資は、企業規模が大きいほど投資効果を得やすくなりますので、中堅中小企業の情報化投資は、大企業以上に経済的ハードルが高いといえます。

多額な投資をする情報システムを構築する人材、活用できる組織の育っていない中堅中小企業も少なくありません。

しかしながら、厳しい価格競争、生き残り競争の時代では、売上を伸ばす、利益率をアップさせるには、無駄をなくし業務の標準化や情報共有を進め、強い企業体質をつくることは重要です。

経理部門と営業部門の報告が一致しない、いつの間にか在庫が膨らむ、販売計画と資金計画の整合性がとれない、取引ごとの利益が把握できていない、といった日常の管理レベルの問題から、組織的な顧客情報の共有による顧客の囲い込み、緻密な原価管理による利益率の向上など、やりたいことは沢山あります。

既に、販売管理、在庫管理、経理などの業務をシステム化している企業が多いにも拘わらず、その成果には物足りなさを感じている経営層の方が多いのが実情です。

過去の情報化投資で、投資効果を見出せなかったという経営者の方も大勢いらっしゃいます。お話を聞いてみると、その多くが情報化投資の目的を曖昧にしているようです。例えば「在庫管理をする」ことが目的になっており、在庫削減による経済効果、つまり金利、倉庫、陳腐化、欠品などの数値目標がない。「在庫管理によっていくら利益を増やすか」が目的になってないのです。「顧客満足度を向上」させても売上に変化がなければ困ります。

 LANを導入しパソコンをネットワークで繋ぎ、ファイル共有とインターネット活用。肝心の基幹業務システムは会計ソフトと販売管理ソフトで、あとは表計算を使いこなしましょう。というリテラシー向上先行型では、本来の業務改革は程遠く、投資も少ないでしょうが効果も多くは期待できません。便利になっただけかもしれません。

多額の投資をして、自社の業務にあったシステム開発をしてみたが、メリットがでないという残念な結果が多いのも現実です。ゼロからシステムを開発するのは、予想を超える費用がかかります。毎月の伝票が1000枚でも1万枚でも仕組みはそう変わりません。売上高には比例しないのです。冒頭に述べた「企業規模が大きいほど投資効果を得やすい」という現実があります。それでも、企業経営は前へ進まなくてはなりません。

情報システムに求めるもの

 初期の情報システムは、事務処理の効率化からスタートしています。請求書を作成し、間違いなく代金が回収されたかを管理するためのシステムや、財務諸表を作成するシステムが、それにあたります。これらも事務の品質向上やコストダウンを図れます。適切な在庫管理は、過剰在庫や欠品による販売機会損失の減少など、収益に貢献できるでしょう。

株式の公開を目指す中堅企業が、監査法人からしばしば指摘を受ける事項に原価管理があります。原材料の用途や、労務費の作業時間による賦課などの管理が不十分という企業は意外と多いのです。

変化の早い現代では、過去の情報をから打てる手は限られます。今を直視し素早い手を打つ経営が求められます。月次の経営管理資料が揃うのが中旬以降では、手を打っても既にひと月遅れてしまいます。「今を可視化する」経営が求められています。

ビジネスプロセスの標準化を実践し、企業の業務が効率よく正確に行われ、経営判断のための情報がスピーディに、できればリアルタイムに入手できる。そのような情報システムでなければなりません。

多くの販売管理システムは、受注後の仕事を処理するために開発されています。営業部門長や経営者は、過去でなく未来の受注や売上をなるべく正確に把握したいのではないでしょうか。それができれば資金計画まで立てやすくなります。

これからの情報システムは、「発生した後のお金の管理」ではなく、「これから動くお金の管理」をしなければ、利益は生まれません。

販売、調達、在庫、会計などの実務を、標準プロセスで統制し継続的な業務改善を維持できる情報システムであると同時に、月次での経営把握から週、日での把握へ。

  • 営業情報を共有し個人の顧客から会社のお客様へ。
  • 営業状況を把握し営業活動の効率化を図る。
  • 全社の顧客情報を一元化し顧客の囲い込みを図る。
  • 在庫と調達の最適化によって製造コストの最小化を図る。

などが、情報システムによって促進されなければなりません。

大手企業においてはSFAやCRM、製造業ではSCMやMRPといったシステムとして導入が進んでいます。中堅中小企業であっても、その必要性に変わりはありません。

中小企業にもERPは有効

 ERPは、Enterprise Resource Planningの頭文字で、日本では、統合業務パッケージと呼ばれており、受注・販売・仕入・在庫・生産・会計といった企業の基幹業務を処理するパッケージソフトです。小規模なものから大規模なものまで、数多くの製品が発売されています。大規模なERPにはSCMやCRMを包含しています。

ERPは、多彩な業務機能を提供するパッケージソフトですので、自ら基幹業務システムを開発するのに比べて、短期間でシステムを稼動させることが容易です。必要な情報システムを自ら開発するよりも安く早く構築できることが、ERPを採用するひとつの理由です。

中堅中小企業は、高価なオーダーメイドより、既製品もしくはイージーオ-ダーで投資を抑制できれば投資効果は高まります。ERPは規模の小さな企業ほど向いているといえます。

本格的なERPは大きな組織を想定しており、複雑な業務の流れにも対応します。それでもかなりの変更を必要とし、ERP導入のコストも何億円という規模になります。一方、中小企業向けには、販売管理パッケージ、経理パッケージなどが発売されており、数十万円から入手できます。残念ながら、これらは画一的な業務処理パッケージであり、企業の独自性を吸収することが殆どできません。なにより、各業務の連携が密でないため(統合データベースでないため)、本来の情報化投資の効果を期待しづらいのです。

もし、中堅中小企業にとって魅力ある価格で、各社の業務に柔軟に対応でき、前向きな情報システム活用ができるERPがあったら....十分に検討の価値はあります。

株式会社エルテックス 代表取締役社長 犬飼邦夫
(著書「中堅・中小企業向けERP SAP Business One(リックテレコム)」から抜粋)

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